パーキンソン病の発症
この記事でわかること
- 遺伝的な体質と加齢・生活習慣などの環境要因がパーキンソン病の発症に与える影響
- 目に見えるパーキンソン病の症状が表面化する前の段階の脳内の変化
- パーキンソン病の運動症状が始まる前の予兆として体に現れる前駆期症状
【前回のまとめと今回のテーマ】
前回は、大脳基底核にある「3つのルート」による精巧なブレーキ調節や、この仕組みが運動だけでなく「判断」や「やる気」の選択にも関わっていることを確認しました。
今回は、パーキンソン病が発症する原因として考えられていること、発症に至るまでに脳内で起こっていること、など発症の裏側のメカニズムを一緒に見ていきましょう。
『大脳基底核ループ』とか難しい話が多かったけど、わかったかな?
ただ、大脳からはたくさんの指令が出るけど、その『大脳基底核ループ』で、その状況に合った指令に絞り込む、
その絞り込みに必要なのがドパミンだってことは覚えてるよ。
実は、ドパミンという「物質」が勝手に減るのではなく、それを作っているドパミン神経細胞自体が少なくなってしまうからなんだよ。
なぜ、この神経細胞が少なくなってしまうのか、詳しく見ていこう。
1⃣ パーキンソン病が発症する要因
パーキンソン病が発症する要因は解明されていませんが、現在では、生まれ持った「体質の土台」に、人生の中で積み重なる「環境の影響」が加わることで発症すると考えられています。パーキンソン病における遺伝の影響には、大きく2つのタイプがあります。
遺伝性パーキンソン病(家族性):
- 割合:全体の約5〜10%と、少数派です
- 原因:特定の「原因遺伝子」に変異があることで発症します。
- 特徴:孤発型と比べて40代や50代以前の若い年齢で発症する(若年性)傾向があります
孤発型パーキンソン病:
- 割合:全体の90%以上を占め、ほとんどの患者さんはこのタイプに該当します。
- 原因:単一の遺伝子のせいではなく、「生まれ持った体質(遺伝的素因)」と「環境の影響(環境因子)」が複雑に組み合わさって(相互作用)発症すると考えられています。
- 環境因子:最も大きなリスクは加齢です。そのほか、農薬への曝露や頭部外傷などが発症を促す可能性が示唆されていますが、確実に証明された環境要因はありません。
- 遺伝の関わり:「遺伝性」ではありませんが、発症のしやすさに関わる「感受性遺伝子」というものがあることが分かってきました。これは「その遺伝子があれば必ず病気になる」というものではなく、「少しだけ病気になりやすい体質」であるという傾向を示すものです。
※「なりやすい体質」であっても必ず発症するわけではありません。
2⃣ パーキンソン病の症状が出るまでに何が起きている?
「昨日まで元気だったのに今日からパーキンソン病になる」ことはありません。実は脳内では、目に見える症状が出るずっと前から、下記の I, II, III のプロセスが静かに進んでいます。
脳に「ゴミ」が溜まり始める
ドパミンを実らせる細胞が枯れる
バックアップの限界を超えて「発症」
しかし、ドパミンを作る細胞の50%程度以上が失われたとき、バックアップの限界を超え、パーキンソン病の症状が表に現れます。
※この50%という数値は目安値です。
パーキンソン病の症状が出る前の段階を「前駆期」と呼びます。この時期には、「においが分かりにくい(嗅覚低下)」「頑固な便秘」「寝言で暴れる(レム睡眠行動障害)」といったサインが出ることがあります。これらは脳が「助けて」と出している小さな信号かもしれません。
ただ、パーキンソン病の症状は人によって現れ方が全然違うんだよ。
そのあたりを詳しく紐解いていこう。
ポイント:パーキンソン病の発症
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発症のきっかけ:体質 × 環境
特定の遺伝子の異常による「家族性」の疾患はごく一部(数%程度)にとどまります。
多くの場合は、生まれ持った「なりやすい体質(遺伝的素因)」に、「加齢」や「生活習慣」、「ストレス」などの環境要因が複合的に重なり合って発症します。 -
脳内の変化:静かなカウントダウン
異常なタンパク質(レビ―小体)がドパミン神経細胞を壊していきます。
脳のバックアップ機能が限界を超えたとき、初めて症状が現れます。 -
体からのサイン:前駆期症状
パーキンソン病の症状が出る前の段階で、嗅覚低下や便秘、レム睡眠行動障害(激しい寝言など)といった「非運動症状」が予兆として現れることがあります。





