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  • パーキンソン病の発症

    Chapter 3-1:

    パーキンソン病の発症

    この記事でわかること

    • 遺伝的な体質と加齢・生活習慣などの環境要因がパーキンソン病の発症に与える影響
    • 目に見えるパーキンソン病の症状が表面化する前の段階の脳内の変化
    • パーキンソン病の運動症状が始まる前の予兆として体に現れる前駆期症状


    【前回のまとめと今回のテーマ】
    前回は、大脳基底核にある「3つのルート」による精巧なブレーキ調節や、この仕組みが運動だけでなく「判断」や「やる気」の選択にも関わっていることを確認しました。
    今回は、パーキンソン病が発症する原因として考えられていること、発症に至るまでに脳内で起こっていること、など発症の裏側のメカニズムを一緒に見ていきましょう。

    前回までは、正常な脳の働きの話をしていたよね。
    『大脳基底核ループ』とか難しい話が多かったけど、わかったかな?
    正直、わからないことも、あるかな。
    ただ、大脳からはたくさんの指令が出るけど、その『大脳基底核ループ』で、その状況に合った指令に絞り込む、
    その絞り込みに必要なのがドパミンだってことは覚えてるよ。
    それだけわかっていれば、合格点だよ。
    それでは、本題のパーキンソン病の話に入って行きましょうか。
    パーキンソン病は「ドパミン」が減っちゃう病気だったよね。でも、なんでドパミンが減るの?
    鋭い質問だね。
    実は、ドパミンという「物質」が勝手に減るのではなく、それを作っているドパミン神経細胞自体が少なくなってしまうからなんだよ。
    なぜ、この神経細胞が少なくなってしまうのか、詳しく見ていこう。

    1⃣ パーキンソン病が発症する要因

    パーキンソン病が発症する要因は解明されていませんが、現在では、生まれ持った「体質の土台」に、人生の中で積み重なる「環境の影響」が加わることで発症すると考えられています。パーキンソン病における遺伝の影響には、大きく2つのタイプがあります。

    遺伝性パーキンソン病(家族性):

    家系内に同じ病気の方が複数いる場合や、特定の遺伝子の異常が原因で発症するタイプです。

    • 割合:全体の約5〜10%と、少数派です
    • 原因:特定の「原因遺伝子」に変異があることで発症します。
    • 特徴:孤発型と比べて40代や50代以前の若い年齢で発症する(若年性)傾向があります

    孤発型パーキンソン病:

    特定の原因遺伝子が見つからず、家族にも同じ病気の方がいないタイプです。

    • 割合:全体の90%以上を占め、ほとんどの患者さんはこのタイプに該当します。
    • 原因:単一の遺伝子のせいではなく、「生まれ持った体質(遺伝的素因)」と「環境の影響(環境因子)」が複雑に組み合わさって(相互作用)発症すると考えられています。
    • 環境因子:最も大きなリスクは加齢です。そのほか、農薬への曝露や頭部外傷などが発症を促す可能性が示唆されていますが、確実に証明された環境要因はありません。
    • 遺伝の関わり:「遺伝性」ではありませんが、発症のしやすさに関わる「感受性遺伝子」というものがあることが分かってきました。これは「その遺伝子があれば必ず病気になる」というものではなく、「少しだけ病気になりやすい体質」であるという傾向を示すものです。


    ※「なりやすい体質」であっても必ず発症するわけではありません。

    2⃣ パーキンソン病の症状が出るまでに何が起きている?

    「昨日まで元気だったのに今日からパーキンソン病になる」ことはありません。実は脳内では、目に見える症状が出るずっと前から、下記の I, II, III のプロセスが静かに進んでいます。

    脳に「ゴミ」が溜まり始める

    脳の中にはα-シヌクレインというタンパク質が存在します。ところが、何らかのきっかけでこれが「異常な形」に固まり、細胞の中に溜まってしまうことがあります。これが「レビ―小体」と呼ばれる物質で、パーキンソン病を引き起こす原因となります。

    ドパミンを実らせる細胞が枯れる

    ドパミンを生成する神経細胞(ドパミン神経細胞)を植物に例えるなら、このレビ―小体 は、植物の根元にたまる”ゴミ”のような存在です。
    本来なら分解されて消えていくはずの老廃物が、うまく処理されずにどんどん溜まっていくと、植物は根から栄養が吸収できなくなってしまいます。
    その結果、ドパミン神経細胞は、ゆっくりと力を失い、最終的には枯れてしまうのです。

    バックアップの限界を超えて「発症」

    脳には強いバックアップ機能があるため、細胞が数個壊れたくらいでは、私たちは異変を感じません。
    しかし、ドパミンを作る細胞の50%程度以上が失われたとき、バックアップの限界を超え、パーキンソン病の症状が表に現れます。
    ※この50%という数値は目安値です。

    知っておきたい「予兆」のこと

    パーキンソン病の症状が出る前の段階を「前駆期」と呼びます。この時期には、「においが分かりにくい(嗅覚低下)」「頑固な便秘」「寝言で暴れる(レム睡眠行動障害)」といったサインが出ることがあります。これらは脳が「助けて」と出している小さな信号かもしれません。

    そっか……病気になるずっと前から、脳の中では「バックアップ」が必死に頑張ってくれるのか。人間の体ってすごいね!
    そのバックアップが限界を迎えたとき、実際にどんな症状が表に出てくるか、知ってるかな?
    代表的な症状は「体の動かしにくさ」や「ふるえ」なんだ。
    ただ、パーキンソン病の症状は人によって現れ方が全然違うんだよ。
    そのあたりを詳しく紐解いていこう。

    ポイント:パーキンソン病の発症

    サマリ装飾イラスト

    • 発症のきっかけ:体質 × 環境
      特定の遺伝子の異常による「家族性」の疾患はごく一部(数%程度)にとどまります。
      多くの場合は、生まれ持った「なりやすい体質(遺伝的素因)」に、「加齢」や「生活習慣」、「ストレス」などの環境要因が複合的に重なり合って発症します。
    • 脳内の変化:静かなカウントダウン
      異常なタンパク質(レビ―小体)がドパミン神経細胞を壊していきます。
      脳のバックアップ機能が限界を超えたとき、初めて症状が現れます。
    • 体からのサイン:前駆期症状
      パーキンソン病の症状が出る前の段階で、嗅覚低下や便秘、レム睡眠行動障害(激しい寝言など)といった「非運動症状」が予兆として現れることがあります。
    ※本サイトは情報提供を目的としています。実際の診断や治療は専門の医療機関にご相談下さい。

    参考文献 (References)

    1. 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
    2. 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)

  • 大脳基底核ループの詳細

    Chapter 2-3:

    大脳基底核ループの詳細

    この記事でわかること

    • 大脳基底核ループを構成する3つの経路と、それらが動作を制御する仕組み
    • 運動機能だけにとどまらない大脳基底核の役割


    【前回のまとめと今回のテーマ】
    前回は、大脳基底核がドパミンを鍵として最適な動きを選ぶ「運動のオーディション」の仕組みを確認しました。

    今回は、その選別をより精巧に行うための3つのルートによるブレーキ調節の仕組みを見ていきましょう。
    また、この大脳基底核ループが運動だけでなく、判断 や やる気といった、私たちの思考や感情を支える『選択の仕組み』としても活躍していることも見ていきましょう。

    人がある動作をするとき、この動作をしようって決め打ちで指令を出してるんじゃなくて、
    いろいろな動きの候補の中から、大脳基底核ループで「これだ!」っていうのを選択しているんだったよね。
    よく覚えてるね。
    大脳基底核ループがその選択を行うのにドパミンが不可欠ってことも忘れないでね!
    その通り。
    でも実は、
    「どの動きを実行するか」「どの動きを抑えるか」
    という繊細な調整は、大脳基底核にある異なる役割を担う3つのルートが協調して働くことで実現しているんだ。
    3つのルート? ただ「合格」って選ぶだけじゃないの?
    そう。私たちが狙った通りにスムーズに動けるのは、この3つのルートを使って「ブレーキの踏み方」を精巧に使い分けているからなんだ。
    この3つのルートの役割を一緒に見ていこう。

    大脳基底核:「動き」を制御する3経路

    私たちの大脳皮質からは常に多数の「運動プログラム」が提案されています 。
    しかし、それらがすべて同時に実行されると体は混乱してしまいます。
    そこで、大脳基底核の出力核(淡蒼球内節や黒質網様部)は、常にブレーキ(抑制信号)で「ロック」をかけています
    この「ロック」状態から、特定の優れた案だけが選ばれブレーキが解除されることで動き出すことができます
    大脳基底核ループには、実際には3つの経路が存在し、これらの経路が時間差で機能することによりスムーズな動きが実現されます。
    3つの経路の役割をそれぞれ見ていきましょう。

    ハイパー直接路:一斉ロック

    • 【役割】: 大脳皮質から「これから何かをするぞ」という信号が出たとき、視床下核を介して全ての「運動プログラム」に対しブレーキをかけます。
      これにより、不必要な案が勝手に飛び出すのを防ぎ、動作開始前の「静寂」を作り出します。
      ※本経路にはドパミンは関与しません。

    直接路:「実行許可」を出すアクセル役

    • 【役割】: 採用された特定の案に対して、大脳基底核の出力部(淡蒼球内節・黒質網様部)が視床に対しブレーキをピンポイントで解除する(脱抑制)よう指示します。
    • 【ドパミンの働き】: ドパミンはこの経路の活動を強力に後押しします。ドパミンがこの経路のゲートのロックを解除することで採用案のブレーキが外れ、私たちの意志に基づいたスムーズな運動が実行されます。

    間接路:「幕引き」を担うブレーキ役

    • 【役割】: 大脳基底核の出力部(淡蒼球内節・黒質網様部)の働きを強めて、ターゲットへのブレーキを踏み直す役割を担います。具体的には、実行された動作を正確なタイミングでピタッと終わらせる(幕引き)機能や、選ばれなかった他の案が紛れ込まないよう抑え込み続ける(ノイズ抑制)機能を持ちます。
    • 【ドパミンの働き】: ドパミンはこの経路に対しては活動(ブレーキ)を抑え込むように働きます。ドパミンがこのブレーキ役を適度に抑えることで、実行中の案が不用意なブレーキによって邪魔されないように調整しています。

    うわぁ、難しいことしてるんだ。
    ただ歩いたり走ったりするだけでも、裏ではこんなに複雑なことをしてるんだね。脳って休む暇がなくて大変そう。
    ふふ、本当ね。
    無意識にやっていることの裏側に、これほど緻密な「運動の仕組み」が隠れているなんて驚きね。
    驚くのはまだ早いよ。
    実は、この大脳基底核が扱っているのは『動き』だけじゃないんだ。
    どういった行動をとるかという『判断』や、わき上がる『感情』の整理も、実はこの同じシステムが裏で支えているんだよ。

    動き・考え・感情を整理する大脳基底核

    大脳基底核は、脳の奥深くで大脳皮質の活動を監視する「門番(ゲートキーパー)」です。その役割の本質は、送られてくる膨大な案の中から「今すべきこと」を絞り込む「選択」にあります。
    この仕組みは「動き」の選択だけに利用されるものではありません。「考え」や「感情」にもそれぞれ専用の基底核があり、同時に別々の選択を行っています

    • 運動ループ(動きの選択):
      「箸を使う」「歩く」といった、練習して身につけた一連のまとまった動作(運動プログラム)を、適切なタイミングで自動的に実行するよう選び出します。
    • 認知ループ(判断・作戦の選択):
      今の状況やマナーを考え、「今は静かにすべきか」「どう段取りを組むべきか」という作戦(行動計画)を決定し、状況に合わせて判断を柔軟に切り替えます。
    • 辺縁系ループ(やる気の選択):
      その行動に「自分にとってのメリット(報酬)」があるかを、快・不快という基準で評価します。これにより「よし、やるぞ!」という意欲や情動のスイッチを入れます。

    ※上記に加え眼球運動を制御するための大脳基底核ループも存在します。

    へぇ〜!運動だけじゃなくて、やる気や考え事まで「オーディション」で決まってたんだね。
    脳の正常な動きがわかってきたかな。
    それでは、次からは本題のパーキンソン病の話に移ろう。

    ポイント:大脳基底核ループの詳細

    サマリ装飾イラスト

    • 大脳基底核ループの3つの経路
      一斉停止の「ハイパー直接路」、実行の「直接路」、不要な動きを止める「間接路」の3つで動作を制御しています。
    • 運動以外への貢献
      大脳基底核は運動だけでなく、認知用、辺縁系用がそれぞれ独自のループを持つことで、思考や感情のコントロールも担っています。
    ※本サイトは情報提供を目的としています。実際の診断や治療は専門の医療機関にご相談下さい。

    参考文献 (References)

    1. 大脳基底核による運動の制御
    2. 脳科学辞典
    3. 解剖学.jp
  • 大脳基底核ループの概要

    Chapter 2-2:

    大脳基底核ループの概要

    この記事でわかること

    • 脳が体に動作指示を出す際に果たす大脳基底核ループの基本的な役割
    • 大脳基底核ループを構成する各部位のつながりと、情報の伝わり方
    • 脳内物質「ドパミン」が担う2つの主要な役割


    【前回のまとめと今回のテーマ】
    前回は、大脳皮質や脳幹、脳の深部にある各部位の名称とその具体的な役割について確認しました。

    今回は、これらのパーツが一つの「強力なチーム」としてどのように連携し、適切な動きを選び出しているのか、その中核となる「大脳基底核ループ」の仕組みについて見ていきましょう。

    脳の中にはいろんなパーツがあるんだね。
    でも、このいろんなパーツは、どんなふうに「チームプレー」をして体を動かしているの?
    いい質問だね。
    脳の奥にある

    • 線条体
    • 中脳の一部である黒質
    • 淡蒼球
    • 視床下核

    の4つのパーツは、協力して動作を選別するためのチームを作っているんだ。
    このチームを『大脳基底核(だいのうきていかく)』と呼ぶんだ。

    このチームは、大脳皮質(司令塔)が出した動作案を大脳基底核が受け取り、視床を経由してまた大脳皮質へ戻る「輪っか」のような回路を作っているの。
    これを『大脳基底核ループ』と言うのよ!
    ぐるぐる回ってるんだね!
    どうしてわざわざ戻ってくるの? 直接「動け」って言えばいいのに。
    それはね、脳がたくさんの『得意技リスト』の中から、どれを使うか選択しているからなんだよ。
    得意技リスト……?、選択……?
    そう!例えばサッカーのシュート。
    練習を積むと、足の角度などを細かく考えなくても「シュート!」と思うだけで体が動くでしょ?
    脳が複雑な動きをひとまとめにして1つの「得意技」として保存しているからなの。
    上手な人は得意技をたくさん持っているよね。
    その中から「今の状況に合うもの」を選び出さないといけないの。
    その役割分担がこうなんだ。
    大脳皮質が今使える得意技をリストアップ
    大脳基底核が今の状況に見合った得意技を選択
    大脳皮質が選ばれた得意技を実行するよう最終指令を出す
    この連携を実現するために、情報はぐるぐる回っているんだよ。

    大脳基底核ループの働き

    私たちは『字を書く』『自転車に乗る』『箸を使う』といった複雑な動きを、繰り返し練習することで自然にできるようになっています。
    このような、身についた複雑な動きを『運動プログラム』と呼びます。

    脳の深部には、大脳基底核ループと呼ばれる神経回路があります。私たちが体を動かす際には、この回路が複数の『運動プログラム』の中から、今行うべき動作を選び出しています。

    大脳基底核ループは 線条体淡蒼球黒質視床下核からなる大脳基底核と、視床大脳皮質とで構成されています。

    これらの各部位がどのように連携し、次の動作を選択しているのか、見ていきましょう。

    1

    候補の送信(大脳皮質 → 線条体)

    大脳皮質(司令塔)が今の状況で選択可能な複数の『運動プログラム』を同時に送信します。
    ※大脳皮質で案は絞らずスピード重視で可能性のある案は全て後段に送信します。

    2

    オーディション(線条体)

    大脳皮質から送られた複数の『運動プログラム』は、線条体の入り口にあるゲートに到着します。しかし、このゲートには普段ロックがかかっており、そのままでは通過できません。
    ここで登場するのが、中脳(黒質)から送られてくる『ドパミン』です。ドパミンがゲートを開ける「鍵」として働くことでロックが解除されます。
    ただし、ロックが解除されたからといって、全ての指令がゲートを通過できるわけではありません。

    過去の経験によってゲートの開きやすさが調整されています(ステップ⑥参照)。
    今の状況に合う『運動プログラム』のゲートは開きやすく通過できますが、今の状況に合わずゲートが開きにくいものは、ここで遮断されます。

    3

    ブレーキの解除(淡蒼球)

    線条体のゲートを突破した『運動プログラム』のみが淡蒼球に到達し、その経路に対応するブレーキを解除します。

    4

    合格通知(視床 → 大脳皮質)

    ブレーキが解除された『運動プログラム』は視床を経由し、大脳皮質へと戻されます。これがシステム上の『合格通知』となります。

    5

    実行(大脳皮質 → 脳幹)

    基底核ループを経て『合格通知』を得たことで、大脳皮質(前頭葉の「一次運動野」という部位)が自信を持って脳幹や脊髄へ最終的な『運動プログラム』の指示を送り出します。

    6

    ゲートの開きやすさの調整

    ステップ②で「鍵」として働いたドパミンには、もう一つ重要な役割があります。それは、行動した結果に応じて放出量を変化させ、次回のゲートの開きやすさ(選ばれやすさ)を更新する機能です。
    ドパミンは『運動プログラム』の選択をするタイミングだけでなく、選択が成功したタイミングで改めて放出され、各経路のゲートの開きやすさの設定をリアルタイムに更新します。

    • 成功した時(ドパミン放出):
      期待通りの結果が得られると、ドパミンが大量に放出されます。これがトリガとなり、今回選ばれた運動プログラムのゲートが「さらに開きやすい状態」に強化されます。
    • 失敗した時(ドパミン減少):
      期待した結果が得られないと、ドパミンが急激に減ります。これがトリガとなり、選ばれた運動プログラムのゲートは「次回から開きにくい状態」へと調整され、同じ失敗を防ぎます。

    運動プログラム選定の自動学習

    脳は行動するたびに、いくつかの候補の中からどれにするかを選んでいます。そして、うまくいけばその候補が通過したゲートを『開きやすく』、失敗すれば『開きにくく』書き換えます。

    この微調整を繰り返すことで、次に同じ状況になったとき、迷わず正しい(過去に成功した)行動のゲートを開けられるようになります。

    なんとなく、わかったような気がする……。
    じゃあ、実際にサッカーでシュートを打つ時には、脳の中はどう働いてるの?
    おっ、光くんの好きなサッカーだね。
    ピッチの上で起きている「瞬時の判断」を、脳のシステム構成図に当てはめて見ていこうか。

    次の動作を瞬時に決める運動ループ

    人間がある動作をするとき、脳内ではコンマ数秒の間で多くの情報のやり取りが行われています。脳がどのように情報を伝達し、数ある候補の中から次の適切な動作を選び出しているのか、そのプロセスを見ていきましょう。

    シーン設定:サッカーの攻撃

    味方からのパスが自分の元に。
    ゴール前にはパスを待つ味方が1人。
    ゴール前には敵ディフェンダーが2人。
    ゴールキーパーはゴール中央より右寄り。
    次のアクションは?

    0

    インプット:状況の解析

    まずは周囲の状況を把握し、「どう動くべきか」の初期衝動が生まれます。

    • 後頭葉・頭頂葉: ゴール、敵、味方、自分の位置を瞬時に3Dマップ化。
    • 大脳辺縁系: 「チャンス、今が動き出すタイミングだ!」と直感的に感じる。
    • 黒質: その「動き出そう」という直感を、実際の動きにつなげるためドパミンを放出。

    1

    大脳皮質:運動プログラムの並列送信

    司令塔である大脳皮質は、今この状況で選択可能であり過去の練習で身につけた「行動プラン(運動プログラム)」を、選別せずに一斉に送信します。

    • 案A:空きスペース目掛けて、シュートを打つ
    • 案B:ゴール前の味方にパスをする
    • 案C:ゴールに近づくため、ドリブルで前進

    2

    線条体:行動プランの選別

    複数の行動プランが線条体へ同時に送られます。線条体では、黒質から届くドパミンの影響も受けながら、「今どの行動を通すか」の選別が行われます。

    • 「案A(シュート)」はゲートが開きやすい状態:
      過去の経験や学習によって、現在の状況では、案Aのゲートが開きやすく設定されており、案Aはゲートを通過します。
    • 「案B(ドリブル)、C(パス)」はゲートが開きにくい状態:
      過去の経験や学習によって、現在の状況では案B、Cの経路は案Aほど通りやすく設定されておらず、ゲートを通過できず、最終的に抑制されます。

    3

    淡蒼球:ブレーキ解除

    ゲートを抜けた「案A」の信号が届くと、淡蒼球がその動きにかけていたブレーキを解除します。

    4

    視床→大脳:合格通知

    淡蒼球でのブレーキ解除を受け、視床が、大脳へ「案Aを採用!」と最終的な合格通知を送り返します。

    5

    実行と補正:脳幹・小脳

    大脳皮質(前頭葉の「一次運動野」という部位)から脳幹・脊髄へ運動指令が送られ、実際のキック動作が実行されます。ゴールキーパーの立ち位置や自分の体勢を見極め、小脳が足首の角度や力加減を微調整し、足を振りぬきます。

    6

    報酬と学習:ドパミンによるアップデート

    ボールがゴール左上に……
    ゴール!成功体験に反応して、再び線条体にドパミンが放出されます。

    「この状況で案Aが成功した」という結果を元に、線条体の入口のゲートの開きやすさが調整されます。その結果、次に似た場面に遭遇した際、「案A」が更に選ばれやすくなります。

    すごい……!
    単に「これだ!」って一つ選ぶだけじゃなくて、
    一瞬で学習もしてるんだ。
    ドパミンを送る『黒質』、選別する『線条体』、ブレーキを管理する『淡蒼球』……。

    でも先生、大脳基底核の主要チームには、もう一人『視床下核』がいましたよね?
    さすが、良く気付いたね!今までの大まかな説明には、まだ登場してないね。
    少し踏み込んで、その精巧な仕組みをじっくり紐解いていこうか。

    ポイント:大脳基底核ループの概要

    サマリ装飾イラスト

    • 大脳基底核ループの役割
      大脳皮質が提案する複数の運動プログラムの中から、現在の状況に適したものを選び出します。
    • 大脳基底核ループの構成要素とそれらの機能
      「案出し(大脳皮質)」→「選別(線条体)」→「ブレーキ解除(淡蒼球)」→「許可(視床)」→「許可の受理(大脳皮質)」というように情報がループします。
    • ドパミンの二つの役割:
      大脳からの指令が通過するゲートを開ける「鍵」としての働きと、成功した指令を次回から更に選びやすくする「学習」の働きがあります。
    ※本サイトは情報提供を目的としています。実際の診断や治療は専門の医療機関にご相談下さい。

    参考文献 (References)


    1. 大脳基底核による運動の制御

    2. 脳科学辞典

    3. 解剖学.jp
  • 脳の内部構造と役割

    Chapter 2-1:

    脳の内部構造と役割

    この記事でわかること

    • 脳の表層と深部の機能的な違い
    • 大脳(表層・深部)、小脳、間脳、脳幹という脳の主要ブロックの役割
    • パーキンソン病に深くかかわる神経伝達物質「ドパミン」がどこで作られているか


    【前回のまとめと今回のテーマ】
    前回は、脳からの『動け!』という指令を体に届けるための通り道には『ゲート』があり、その門を開ける『鍵』の役割をドパミンが担っていること、パーキンソン病はこのドパミンが不足して脳からの指令がスムーズに伝わらなくなる病気であること、を確認しました。

    今回は、指令の出発点となる大脳の各ブロックや、実際にドパミンを生成する中脳、そして生命維持を司る脳幹など、脳の「表層」と「深部」にある各部位の名称とその具体的な機能について見ていきましょう。

    前回『体を動かすにはドパミンが大事』って教わったけど、そもそも僕たちが体を動かすとき、脳の中では何が起きてるの?
    いい質問だね。
    私たちが当たり前のように見て、感じて、動くことができるのは、脳の中で、ものすごいスピードで情報のリレーが行われているからなんだ。
    脳の中のただ一つの場所が命令しているんじゃなくて、いろんなところが協力して『動け!』という最終的なアクションを作っているのよ。
    その通り。まずは、脳の中にどんな部位があるのか、脳内マップを見てみよう。

    脳の表層のパーツと役割(表層マップ)

    私たちの脳は、役割ごとにブロックに分かれ、巨大なネットワークを形成しています。まず脳の表層を見てみます。

    大脳:思考・戦略の情報処理センター

    大脳の表面は、大脳皮質だいのうひしつと呼ばれる、厚さわずか数ミリの薄い神経細胞の層で覆われています。この薄い表層に膨大な数の神経細胞(ニューロン)がぎっしりと敷き詰められており、人間が計算や判断、戦略を立てたりするための高度な処理を行う『情報処理センター』として機能しています。

    大脳皮質は大きく4つのブロック(葉)に分かれています。

    • 前頭葉ぜんとうよう:作戦を練り発令する「司令塔」
      他のブロックから届いた情報をまとめ、「こんな動きはどうだろう?」といくつもの運動の作戦案を作成し指令を出します。
    • 側頭葉そくとうよう: 知識・経験の「データベース」
      運動計画を立てる時に参照すべき、過去の経験や知識を蓄積しています。
      ※音や言語を理解する働きにも関わります
    • 後頭葉こうとうよう: 映像を解析する「モニター」
      目から入った情報を処理し、形や色、大きさを正しく把握します。
    • 頭頂葉とうちょうよう: 空間を測る「ナビゲーター」
      「目に見える景色」と「手足の感覚」を合体させて、頭の中に立体的な地図を作ります。周りの物と自分との距離感を正確に計算します。

    小脳:動きを滑らかに整える調整役

    小脳は、動きの細かな調整を行う「運動の調整センター」として働いています。大脳から送られてくる「こう動きたい」という運動計画と、目・内耳・筋肉などから送られてくる実際の体の状態を常に照らし合わせ、そのズレを瞬時に修正することで、滑らかで正確な動きを実現しています。

    ※小脳は過去に「どう動いたら成功したか」という経験値を提供し、より精度の高い運動計画を大脳で完成させるための手助けもしています。

    脳幹のうかん:生命維持の運営と反射行動

    呼吸、心拍、血圧の調節などの生命維持活動、無意識に体のバランスを保つ姿勢反射や、眼球の動き、飲み込み(嚥下)、咳などの反射行動の制御を行っています。

    大脳と小脳って聞いたことはあるな。
    さっき話してた『ドパミン』はどっちで作られてるの?
    どちらでもないの。今見ていたのは脳の表層で、『ドパミン』は脳のもっと奥で作られているのよ。
    大脳・小脳は、考えたり細かい動きの調整をしていたけど、
    脳の奥の方では、意識しなくても体が勝手にやってくれる大事な働きを受け持つものが多いの。例えば、

    • 生命維持に必要な体内の働き:呼吸や心臓のリズム、水分調整など
    • 反射的な動作:熱いものを触ったら手を引く、目や頭を素早く向けるといった動作
    • 無意識でできる動作:箸を使う、字を書くといった、何度も練習して身に着けた動作。

    といったようなものがあるかな。

    それじゃあ、ちょっと脳の断面図を見てみよう。役割ごとに、大きく3つのブロックに分かれているのがわかるかな?

    脳の内部構造と役割(断面マップ)

    脳の深部には、本能や生命維持、情報の交通整理を司る重要なパーツが密集しています。

    大脳の深部:動きの選択・情動の源

    • 大脳辺縁系だいのうへんえんけい:感情と意欲のエンジン
      喜怒哀楽などの感情を生み出し行動の「やる気」を支えます。
    • 線条体せんじょうたい:動きの選択
      前頭葉が出した複数の動きの案の中から、今やるべき「採用案」を選び出します。
    • 淡蒼球たんそうきゅう:運動のブレーキ
      過剰な動きを抑制し、精密な動作を行えるよう調節します。

    間脳かんのう:生命維持の司令塔

    • 視床ししょう:感覚の中継基地
      嗅覚以外のあらゆる感覚情報を大脳へ振り分ける脳内の「窓口」です。
    • 視床下核ししょうかかく:ブレーキの増幅担当
      淡蒼球に対して「もっと強くブレーキをかけろ!」と指令(興奮性)を送ります。これにより、急に動きを止めたり、複雑な動きを制御したりします。
    • 視床下部ししょうかぶ:生命維持のための体調監視・指令
      体温、睡眠、水分量などを常に監視し、脳下垂体・脳幹(延髄)などに指示を送り、体調を維持します。
    • 脳下垂体のうかすいたい:ホルモン工場
      視床下部の命令を受け、成長や代謝に必要な化学物質(ホルモン)を全身へ届けます。

    脳幹のうかん:生命維持の運営と反射行動

    • 中脳ちゅうのう:体の自動制御とドパミンの生成
      眼球運動の制御や、視覚・聴覚の反射、姿勢の保持、ドパミンを生成・放出する機能を持ちます。
    • きょう:小脳への懸け橋
      大脳から送られた運動命令を小脳へ中継し、動きの微調整を促します。
    • 延髄えんずい:生命維持の運営
      呼吸・血圧・心拍など、意識しなくても止まってはいけない活動を制御します。

    うわあ、たくさんあるんだね。これが全部、いっぺんに働いてるの?
    そうだよ。これらは別々に動いているんじゃなくて、実は『強力なチーム』として、高速で情報をやり取りし常に連動しているんだ。
    それぞれの担当が勝手に動いてるんじゃなくて、チームプレーだったんだね!
    どんなふうに連携しているのか、気になるなあ。
    じゃあ、次はこのチームプレーについて見ていこう。

    ポイント:脳の内部構造と役割

    サマリ装飾イラスト

    • 戦略を組み立てる「表層」と、生命活動を支える「深部」
      脳の表層は、視覚や感覚などの情報を統合し、最適な動きの計画を立てることが主要な働きです。対して脳の深部は、生命維持や動作の自動制御、ドパミンの生成など、意識にのぼらない領域で心身を根本から支えています。
    • 脳の主要ブロックと役割
      ・大脳の表層(大脳皮質):思考・戦略の情報処理センター
      ・大脳の深部:動きの選択・情動(感情・意欲)の源
      ・小脳:動きを滑らかに整える調整役
      間脳かんのう:生命維持の司令塔
      脳幹のうかん:生命維持の運営
    • 中脳におけるドパミン生成
      運動の調節に不可欠なドパミンは、脳幹の中の「中脳」で生成されます。
    ※本サイトは情報提供を目的としています。実際の診断や治療は専門の医療機関にご相談下さい。

    参考文献 (References)

    1. 脳科学辞典
    2. 解剖学.jp

  • パーキンソン病とは

    Chapter 1:

    パーキンソン病とは

    この記事でわかること

    • パーキンソン病の発症要因と、それにかかわる脳内物質「ドパミン」の役割
    • 高齢期におけるパーキンソン病発症リスク増加や世界的な患者数急増の現状
    • 日常生活に影響を及ぼす「運動機能」と「認知機能」の具体的な低下症状


    【プロローグ】

    クリニックの午後の診療は休診。
    院長の司先生と看護師の結さんは、数日後に控えた学会発表の準備を終え、コーヒーを手に一息ついていました。

    そこへ、学校帰りの光くんが、いつものように立ち寄りました。

    ただいま! また遊びに来たよ。
    光くん、おかえり。今日は早かったんだね。
    お疲れ様、光くん。今、冷たい飲み物を出してあげるわね。

    三人が揃い、一息ついたその時。テレビから、あるニュースが流れてきました。

    「──続いてのニュースです。
    iPS細胞を用いたパーキンソン病の治験において、安全性と臨床的有益性が示唆される結果が確認されました。」

    あ、iPS細胞だ。このあいだこども新聞で読んだぞ。
    いろんな細胞に変身できるすごい細胞なんだよね。
    光くん、新聞で見たの?
    難しい言葉、よく覚えてるね。
    うん! iPS細胞は知ってるよ。
    でも、『パーキンソン病』って、初めて聞くなぁ。
    いったいどんな病気なの?
    パーキンソン病は、私たちの『脳』に深く関係している病気なんだ。
    脳? 僕たちの頭の中の?
    そう。光くんが走ったり、ジャンプしたりできるのは、脳が『動けー!』って指示を出してるからなんだけど、それだけでは体は動かないの。
    そうなの?
    体を動かすには、脳の指令を体に伝える必要があるんだ。
    この指令の伝達経路にはゲートがあって、通過するためにはそのゲートの『鍵』が必要なんだ。
    パーキンソン病は、この『鍵』の役割をする物質が不足してしまうことで、脳が出した指令が伝わらなくなる病気なんだよ。
    そうなんだ。
    パーキンソン病って初めて聞く名前だな。珍しい病気なんでしょ?
    いや、そうとは言えないんだ。
    パーキンソン病は高齢者の発症率が高くて、
    65歳以上では100人に1人がこの病気を抱えている
    この病気は、
    身近な人がかかっていてもおかしくない、
    自分自身が将来かからないとも断言できない、
    決して他人事ではない病気なんだ。

    パーキンソン病の原因

    脳内には、大脳からの指令を通すか止めるかを調整する「ゲート(門)」のような仕組みがあります。このゲートを開ける「鍵」の役割を果たしているのが、ドパミンという神経伝達物質です。

    通常、脳の深いところにある「黒質(こくしつ)」という場所で、この鍵(ドパミン)が絶え間なく作られています。十分な鍵があるおかげで、ゲートは適切に開き、大脳からの指令がスムーズに体に伝わります。私たちが無意識に、滑らかに体を動かせるのはこのおかげです。

    このドパミンの工場である黒質の神経細胞が徐々に減少(死滅)していくとパーキンソン病を発症します

    工場が小さくなっていくと、脳内の鍵(ドパミン)の量が足りなくなります。その結果、「ゲートが開かない」状態になり、大脳が「動け!」と命令を出しても、その指令が筋肉までうまく伝わらなくなってしまいます。これが、パーキンソン病の方が体を思い通りに動かせなくなる原因です。


    ※パーキンソン病の病態は複雑で様々な症例があり、上記のドパミン減少による運動機能の低下は、数ある症例の中の代表例です。

    パーキンソン病の発症

    • 年をとると「100人に1人」のリスク:
      パーキンソン病の患者数は、日本国内の平均では1000人につき1人~2人程度です。しかし、高齢者になるとその割合が増え、65歳を過ぎると約100人に1人程度と言われています。あなたの身近な誰かが、あるいは自分自身が直面しないとは断言できない確率です。

    • 65歳以上で100人に1人が発症するパーキンソン病の有病率のイメージ

    • 世界的な急増(パーキンソン・パンデミック):
      高齢化や診断技術の向上によって、この20年間で患者数は2倍以上に増加しています。
      その急増ぶりから、専門家の間では世界で最も増えている神経疾患の1つとして、「パンデミック(爆発的な広がり)」と表現して警鐘を鳴らす動きもあるほど、現代社会の深刻な課題となっています。

    • 働き盛りで発症することも:
      パーキンソン病は高齢者だけの病気ではありません。発症率は高齢者ほど高くはないものの、40代、時にはそれ以下の「働き盛り」で発症する『若年性(じゃくねんせい)』の患者さんもいます。仕事や家庭生活への影響が大きい中で、それでも前を向いて闘い続けています。

    パーキンソン病の症状

    運動機能が低下します。同時に認知機能の低下も見られます。
    ※患者さんごとに症状の現れ方は異なります。

    • 運動機能低下:
      動作が緩慢になったり、細かい作業ができなくなったりします。
      【日常生活への影響】

      • 歩幅が狭くなる、すり足になる、ふらつく。
      • 歩き出そうとしても一歩目が出ない。
      • 力が入りっぱなしになる。
      • 震えが止まらない。
      • 細かい作業ができない
      • 顔の表情が乏しくなる
      • 声が小さくなる
    • 認知機能低下:
      注意・記憶・遂行機能(計画・判断・切替)が低下します。
      【日常生活への影響】

      • 複数作業が同時に進められない
      • 計画が立てられない
      • 意欲が低下する、無関心になる。

    65歳以上だと100人に1人!?……。
    ニュースの中の遠い話じゃなくて、僕が今日すれ違った人の中にも、この病気の人がいるかもしれないんだね。
    そうだね。そしてこの病気は、脳が体に「動け!」という指令を出すプロセスがうまくいかなくなることが大きな特徴なんだ。
    脳からうまく指令が出せない……。それって、脳から筋肉までのどこかで指示が途切れるってこと?
    単純に途切れるというより、脳の深いところで「どの動きを採用するか」が決まらなくなってしまうんだよ。
    ある動作をするとき、脳の中では無数の動きの候補が競い合っている。
    実はその中から有望な候補を選ぶ「オーディション」が、一瞬の間に行われているんだ。
    えっ! オーディション!? 僕は何も考えてないつもりだけど……。
    脳って、体を動かすときに一体どんなことをしているの?
    パーキンソン病の話に入る前に、まずは健康な脳の仕組みを知る必要がありそうね。
    次回にその話をしましょう!

    ポイント:パーキンソン病とは

    サマリ装飾イラスト

    • パーキンソン病の発症
      パーキンソン病は、脳の深い位置にある「黒質(こくしつ)」という部位の神経細胞が徐々に減少(死滅)していくことで発症します。
      この黒質の細胞は、神経伝達物質であるドパミンを生成する重要な役割を担っています。
      ドパミンが不足すると、脳内の情報伝達に支障をきたすようになり、様々な症状が現れてきます。
    • パーキンソン病の主な症状
      震えや動作緩慢などの運動症状に加え、判断力の低下や意欲減退といった認知・精神面にも影響が現れます。
      ※患者さんごとに症状の現れ方は異なります。
    • パーキンソン病の発症リスク
      国内での、パーキンソン病の発症率は、平均では1000人につき1人~2人程度ですが、65歳以上では約100人に1人が発症しています。
      世界的にも高齢化・診断精度の向上により20年で患者数は2倍以上に急増しています。
    ※本サイトは情報提供を目的としています。実際の診断や治療は専門の医療機関にご相談下さい。

    参考文献 (References)

    1. パーキンソン病診療ガイドライン2018、日本神経学会
    2. Dorsey, E. R., et al. (2018). “Ending Parkinson’s Disease.”(パーキンソン病急増に関する世界的知見)
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    本サイト(PDテラス)は、パーキンソン病(Parkinson’s Disease、略してPD)に関する様々な情報をお届けするサイトです。

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    『なぜこの症状が現れるのか』、『治療にはどのような目的があるのか』
    などをイメージしやすい形で紹介します。

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    当サイトでは、患者さんご本人、周りで支える方々など、
    それぞれの立場に合わせて、以下のような疑問や不安を解消するヒントをお伝えします。

    同僚・友人にパーキンソン病の人がいる方

    • 「実際はどういう病気なの?」という、患者さんご本人には聞きづらい、病気の基本的な情報を知りたい
    • 震えなどの目に見える症状だけでなく、患者さんご本人の辛さが分かりにくい「非運動症状」を理解し、自然な配慮をしたい
    • 患者さんが「笑顔が少ない」のが病気の症状であるということを知り、「自分に良い印象を持っていないのでは?」という不安を解消したい

    パーキンソン病患者さんのご家族

    • 患者さんの体で「何が起きているのか」を正しく知ることで、正体のわからない漠然とした不安を解消したい
    • 長期療養を経て現れてくる薬に対する「反応の変化」への心構えをしておきたい
    • リハビリやデバイス療法など、生活の質(QOL)を維持するための具体的な選択肢を把握したい

    パーキンソン病患者さんご自身

    • 「今の治療の目的は何なのか」を再確認し、前向きに治療に取り組むヒントを得たい
    • 薬の調整方法や、自分の体に起きている症状の理由を、専門的な視点から深く理解したい
    • 「将来の治療」の最新情報を正しく知り、これからの日々に希望を持って過ごしていきたい

    専門的な情報を より身近に

    PDテラスでは、Chapterごとにパーキンソン病の大切なテーマを取り上げ、やさしく解説します。
    専門的な話を親しみやすく伝えるために、架空の舞台及び3人のキャラクターを登場させました。
    町の脳神経内科クリニックを舞台とし、この3人の会話を通して、パーキンソン病に関連する情報をお伝えします。

    司先生紹介

    司(つかさ)先生:
    クリニックの院長

    豊富な知識を分かりやすく解説する「情報の案内役」です。

    結さん紹介

    結(ゆい)さん:
    クリニックの看護師

    司先生の解説を、イメージしやすい日常の言葉でフォローします。

    光くん紹介

    光(ひかる)くん:
    司先生の孫

    読者と同じ目線で疑問を投げかけ、難しい仕組みを身近な話題へとつなげます。

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